歯医者で働く、子どもを持つママ達のブログ

2024.07.12気をつけたい子どもの口呼吸

今回は、気をつけたい子どもの口呼吸について原因や対処法をご紹介します。

人は通常、鼻で呼吸をするのが一般的ですが、さまざまな要因から口を開けたまま呼吸をしてしまう口呼吸をする人が増えているといわれています。子どものうちから口呼吸が常態化すると、歯やお口だけでなく全身にも影響を及ぼしかねません。

 

口呼吸が及ぼす影響

口呼吸が常態化すると、以下のような症状を引き起こす場合があります。

・むし歯や歯周炎のリスクが高くなる

口呼吸が続くと、お口の中が乾燥して唾液が本来もつ自浄作用や抗菌作用が弱まってしまいます。これにより、むし歯や歯周炎の原因菌の動きが活発になり、むし歯や歯周炎になりやすくなります。

・細菌やウイルスに感染するリスクが高くなる

鼻の粘膜や毛はフィルターのような役割をしており、鼻呼吸をすることによって空気が直接体内に入らないようになっています。しかし、口呼吸の場合は空気中の細菌やウイルスが直接体内に侵入するため、感染リスクも高くなります。

・歯並びに影響が出る

口呼吸が常態化すると、舌が本来あるべき位置(上顎の裏側)におさまらず舌の位置が下がるため、上顎が発達しにくくなります。これにより、出っ歯や開咬(上の前歯と下の前歯で上下方向に隙間が生じる)などの不正咬合を引き起こすリスクが高くなります。

 

口呼吸の原因と対処法

子どもの口呼吸には様々な要因があります。

・鼻づまり

風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻が詰まり、口呼吸になってしまうケースです。風邪が原因であれば、風邪が治れば呼吸も改善されることがほとんどですが、アレルギー性鼻炎が長引く場合、口呼吸が常態化してしまうおそれがあります。早めに耳鼻咽喉科を受診し、治療や対処について相談するようにしましょう。

・口周りの筋肉が発達できていない

口周りの筋力が不足していると、自然にお口を閉じることができません。柔らかいものばかりを食べたり、よく噛まずに食事をしていると口周りの筋肉が十分に発達しなくなってしまうため、日頃の食事で気をつける必要があります。

・歯並びや顎の形

歯並びや顎の形によって口呼吸になってしまうケースもあります。例えば、出っ歯(上顎前突)の場合は歯が前に出ていることで唇を閉じることができず、口呼吸になりやすくなります。すぐに解決できる問題ではないことが多いので、まずは小児歯科や矯正歯科を受診し、診断を仰ぐ必要があります。必要に応じて矯正治療も検討しましょう。

口呼吸は子ども本人の頑張りだけでは治らないことも多々あります。根本的な治療のためには、早めに小児歯科や耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

2024.06.14子どもにとって「よく噛む」ことのメリット

赤ちゃんは生まれながらの吸啜反射(口に入ってきたものを強く吸う反射)をもちますが、噛み方は知りません。噛むことは、赤ちゃんや子どもが成長とともに習得する機能です。「よく噛んで食べなさい」とはよく言われることですが、具体的によく噛むことはどのようなメリットがあるのでしょうか?


・口周りの筋肉の発達を促し、口呼吸を防ぐ
近年子供に増えている口呼吸の原因の一つには、柔らかいものばかりを食べたり良く噛まずに食べることが挙げられます。よく噛んで食べることは、口周りの筋肉の発達を促し、自然と鼻呼吸ができるようになります。また、早食いの抑制にも繋がります。


・歯や顎の骨の発達を促し、歯並びがよくなる
よく噛むことにより顎がしっかりと発達します。顎が発達すると歯が生えてくるスペースが確保されるので、永久歯がおさまりきらずに歯並びが悪くなることを未然に防ぐことができます。


・胃や腸への負担を軽減する
子どもは大人に比べて消化機能が発達していないため、消化に時間がかかります。よく噛んで食べることは、消化酵素であるアミラーゼを含む唾液の分泌を促進し、胃腸の働きを助けることに繋がります。


・味覚の発達を促す
よく噛んでゆっくり味わうことは、味覚の発達を促します。


・脳神経を刺激する
良く噛むことにより脳神経が刺激され、脳の働きを活発にします。また、満腹中枢を刺激することにより食べすぎを防ぎ、肥満防止にも繋がります。


言葉で「よく噛みなさい」と伝えても、なかなか伝わらないこともあります。そのようなときは、ぜひ保護者の方も一緒に噛む動作を実践してみましょう。大人が思っている以上に、子どもは大人たちのことをよく見ています。また、よく噛むことを促すような食事作りも大切です。例えば、きゅうりは薄切りにせず、噛み応えのある乱切りにしたり、昆布などの少し硬い食材をあえて取り入れてみたりします。
毎日の食事を楽しく美味しく味わえるよう、しっかり噛める工夫をしていきましょう。

2024.05.14乳幼児期の飲み物で気をつけたいこと

お子さんの日常的な水分補給に何を飲ませていますか?
乳酸菌飲料やスポーツドリンク、ジュースなどを習慣的に摂取することは、むし歯のリスク
を高めるだけでなく、貧血や糖尿病など全身の健康にも影響を及ぼします。

水分補給は水かお茶で

先ほど例に挙げたジュースなどの飲み物には、想像以上の糖質が含まれています。スポーツ
ドリンクやイオン飲料、野菜ジュースなども「体によさそう」というイメージが先行してい
るものの、実際には栄養学的なメリットよりも飲むことによるデメリットが上回る飲み物
です。摂るべき栄養は、ジュースからではなく食事で摂れるように毎日の食事を工夫しまし
ょう。日常的な水分補給は水かお茶にすることを月齢が小さいうちから徹底すれば、子ども
がむやみにジュースや甘い飲み物を欲しがることもなくなります。

 

哺乳瓶むし歯(ボトルカリエス)にご注意を

特に、乳酸菌飲料やスポーツドリンク、ジュースなどの飲料を哺乳瓶やマグに入れて時間や
量を決めずにだらだらと飲むことはご法度です。哺乳瓶で飲料を飲むと、特に前歯の裏側に
飲料が長時間触れることになります。歯が糖質と酸性度の高い飲み物に長時間さらされる
ことは、むし歯のリスクを高めることに他なりません。特別な機会にこれらの飲料を飲む場
合も、必ずコップで飲むようにし、だらだらと飲まないように心がけましょう。

 

月齢の小さいうちから甘い飲料を飲ませることは、お口の健康にも全身の健康にも多大な
リスクがあるとともに、味覚そのものにも一生に関わる大きい影響を与えかねません。もち
ろん絶対に飲んではいけないということではありませんが、頻度や量にはくれぐれも気を
つけるようにしましょう。

2024.04.12子供の虫歯はなぜ進行速度が早いの?

こんにちは!

大人も子供も同じように虫歯になりますよね。

どちらとも一度虫歯になれば再発しやすくなり、治療を繰り返すたびに歯の寿命が短くなってしまいます。さらに、大人の歯に比べて子供の乳歯は、外側のエナメル質の厚みが薄く、虫歯になると進行スピードが早いです。

今回は、虫歯を進行させる原因や虫歯の進行速度を抑えるポイントについてお話しします。

 

  • 虫歯の進行速度が加速する原因

 

1.歯磨きが正しくできていない

歯磨きが正しくできていないと、プラークが残り、虫歯菌も多くなります。

虫歯菌が多いほど、虫歯の進行が早くなります。

 

2.糖質の摂り過ぎ

虫歯菌の餌となる糖質を摂り過ぎると、虫歯菌の活動はより活発になり、虫歯の進行が早くなります。

お米やパンなどで食事として適切な量を摂ることは大切ですが、甘いお菓子や清涼飲料水はできる限り避けましょう。

 

3.ダラダラ食べている

物を食べると口の中は酸性に傾き、少しずつ歯が溶け始めます。これを「脱灰(だっかい)」といいますが、唾液には酸を中和して、脱灰した歯の表面を修復し歯を強くする「再石灰化」の働きがあります。一日中、だらだら食べていると、脱灰の時間が長くなり、虫歯になりやすい環境になってしまいます。

 

4.よく噛まない

あまり噛まずに食事をしていると唾液の分泌が少なくなってしまいます。

唾液の分泌が減ると、歯の表面に汚れが溜まりやすくなったり、虫歯の進行が早くなります。

 

  • 虫歯の進行を止めるために

 

食後すぐの正しい歯磨き

三食だけでなく、おやつの後も必ず歯磨きをしましょう。

食後すぐに歯を磨く習慣を身に付けることが大切です!また、できればフッ素配合の歯磨き粉を使用しましょう。

 

定期的にフッ素塗布を受ける

フッ素は歯の再石灰化を促し、歯質を強化してくれるので、虫歯の予防だけでなく進行の抑制にも効果的です。

3~4ヵ月に1回定期的に受けることをおすすめします。

 

食べ方やおやつの内容の改善

よく噛ませること、ダラダラと食べさせないことに重点を置きましょう。

ご家族で一緒にきちんとテーブルで食事を摂る習慣があると、これらのことを習慣づけやすくなります。

またおやつについては、甘いものを避けて、おせんべい、小魚、ヨーグルトなどの虫歯になりにくいものを選ぶようにしましょう。

 

どんなにフッ素塗布をしたり食事に気をつけていても、毎日のブラッシングが上手にできていないと虫歯は進行してしまいます。

子供を怪我から守るように、子供のお口の中の環境をぜひ守ってあげてください。

お子様の虫歯についてお悩みの場合には、お気軽に「いちば歯科医院」へご相談下さい。

2024.03.14乳歯から永久歯への生え変わり

5〜6歳頃になると徐々に乳歯が抜けて、永久歯に生え変わっていきます。

生え変わる時の乳歯は、ぐらぐらしたり、痛みがあったりといったことが起こります。

自然に抜けるのを待ってもいいのか、歯科医院に行って抜いてもらった方がいいのか、迷うこともあると思います。

そこで、今回は乳歯から永久歯への生え変わりの時期に起こることについて、いくつか紹介していきます。

 

・乳歯がなかなか抜けない

乳歯が抜けないうちに、永久歯が生えてきてしまったり、なかなか抜けない乳歯によって痛みが出てきたり、あるいは抜けそうな乳歯に気を取られて生活に支障が出たりする場合は、抜歯が必要なことがあります。

親御さんが判断するのは難しいため、歯科医院に相談してみてください。

 

・乳歯がたくさん抜けてしまう

永久歯への生え変わりに伴って、自然に抜ける場合は問題ありません。

3ヶ月程度で永久歯が生えてきますので、安心してください。

 

・乳歯が抜ける前に永久歯が生え始めてきてしまった

速やかに歯科医院を受診してください。

生え変わりが終了した後、歯並びが悪くなってしまう可能性があるため、乳歯を抜く必要があります。

その乳歯を抜くと、永久歯が正しい位置に生えてくることができるようになります。

 

・生え変わり期に子どもが痛がる

生え変わり期の子どもから歯が痛いと言われると、むし歯なのか生え変わりによるものなのか、区別がつかない場合が多いです。

痛みに大きな違いもないケースが多いため、あまりに痛がるようなら歯科医院を受診してください。

乳歯が自然に抜けた後でもまだ痛がる場合は、生え変わり以外の原因が考えられるため、歯科医院を受診することをおすすめします。

 

・歯ぐきが赤くなる

これは、歯肉炎や、歯ぐきが傷ついていることが考えられます。

永久歯が生えてくる際に歯ぐきにあいた穴に雑菌が侵入したり、ぐらぐらしている歯が歯ぐきを傷つけてしまったりといったことで起こります。

歯みがきをしっかりと行い、お口の中を清潔に保つことによって防ぐことが可能です。

 

これ以外にも、生え変わり期のお子さんにはさまざまなことが起こってくると思います。

生え変わり期は、親御さんが仕上げみがきをやめる頃に始まります。

歯肉炎やむし歯のリスクも高まっているので、ぜひ生え変わり期が終わる頃までは仕上げみがきをしてあげてください。

心配なことや、なにか症状が出た際は、早めに歯科医院を受診してください。

いちば歯科医院では、ご不安な気持ちにより添い、丁寧な説明をする環境が整っておりますので、お困りの際はぜひお越しください。