歯の硬さ
2022年01月05日
みなさん、こんにちは。食事中にうっかり舌やほっぺを噛んでしまい、「痛っ!」となった経験は誰にでもありますよね。では、その相手となる“歯”は、どれくらい硬いかご存知でしょうか。普段は当たり前のように使っている歯ですが、その強さや役割を詳しく知ると、今まで以上に大切にしようという気持ちがきっと湧いてきます。
物体の硬さを示す基準のひとつに「モース硬度」というものがあります。これは数字が1~10の尺度で、数字が大きいほど硬いことを意味します。たとえば、世界で最も硬い物質として知られるダイヤモンドはモース硬度10。一方、黒板消しに使われる石こうや滑石は1〜2と非常に柔らかい分類です。
では、私たちの歯はどのくらい硬いのでしょうか?歯の表面を覆っている「エナメル質」は、人体の中で最も硬い組織とされており、そのモース硬度はなんと“7”。これは鉱石でいう石英と同じレベルです。日々食べ物を噛み砕く役割を担うため、非常に頑丈にできていることがわかります。
とはいえ、どれだけ硬い歯でも万能ではありません。強い衝撃が加わったり、歯ぎしりによって長時間擦り合わせたり、虫歯によって内部から弱くなったりすると、欠けたり割れたりすることがあります。また、硬いものを噛む癖(氷をがりっと噛む、ペンを噛むなど)も歯には大きなストレスです。強い組織だからこそ、一度ダメージを受けると回復しにくいという特徴もあります。
歯が欠けてしまうと、その鋭利な部分が舌や頬を傷つけるだけでなく、欠けた部分から細菌が侵入し、虫歯や知覚過敏を引き起こしやすくなります。さらに、噛み合わせのバランスが崩れることで顎関節に負担がかかり、頭痛や肩こりの原因になることもあります。
特に夜間の歯ぎしりは、無意識のうちに強い力が加わるため、歯の摩耗やヒビの原因として非常に多い習慣です。マウスピースを活用することで予防できる場合がありますので、「朝起きたら顎が疲れている」「歯がすり減ってきた気がする」と感じる方は、ぜひ一度相談してみてください。
また、歯が硬い=強いと勘違いしてしまいがちですが、エナメル質の内側にある象牙質はエナメル質ほど硬くありません。ひとたびエナメル質が削れたり欠けたりすると、内部がむき出しになり、刺激が伝わりやすくなってしまいます。つまり、硬さに過信せず、日頃のケアがとても大切だということです。

もし歯が欠けていることに気づいたら、「これぐらい大丈夫」と放置せず、早めに歯科医院を受診してください。適切な処置を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
いちば歯科医院では、お口の健康を長く保つための診療を心がけています。歯が欠けた・しみる気がする・歯ぎしりを指摘されたなど、どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談くださいね。皆さまの来院をお待ちしております。





